解説 森の棺

魂の周回、一周目。「森の棺」。

Terraシリーズのシャドウは、究極生命体ですが、「永遠の命を持っている」という描写は作中に一切ありません。その代わり、魂が何度でも転生して、Terraの世界を彷徨い続ける仕組みになっています。Terra本編の最終話でシャドウはナックルズに向かって誓います。

「君に誓う。どこにいても、何度でも⋯⋯僕は、君の元へ、必ず帰ってくる」

この誓いがトリガーとなって、シャドウの魂はナックルズと共に、何度もTerraの世界を巡り、何度も繋がり続ける事になります。

また、神話的なルールとして、転生譚のシャドウの魂は、必ず先にナックルズを見つけ、共鳴を始めます。ナックルズの魂は、シャドウよりも少し遅れて共鳴を始めます。(神話においては順番が非常に大事です。古事記のイザナギとイザナミが結婚の儀式で、声をかける順番を間違えたせいで一度失敗したのと同じです)

つまり、転生譚はシャ→ナコがシャ→←ナコになるまでを世界を変えて何度も書いている物語群です。

メタ的な解説を少し。森の棺は、書き手のKanokoが一番最初に書いたTerraの長編物語です。なので文章・物語・設定的に少し粗がある気がします。推敲は何度もしているのですが⋯⋯異世界ファンタジーだし、この粗が面白いかもしれないと思って、物語としての粗はある程度残したままの状態にしています。「森の棺」のみ章ごとにタイトルがありますが、小説の執筆自体ほぼ生まれて初めてだったので、書き方がわからず、お題でランダムで出てきたワードを章のタイトルとして並べ、そこから思いついた物語をシャナコに当てはめたからです。なので、突然セージが出てきたり(お題箱が出したワードに「少女」とあったため)、テイルスが出るのにソニックは出ないという不思議なバランスの物語になっています。結果、Terraの長編物語の中で唯一ソニックが出てこないお話に仕上がってます。

お題箱から出てきたワードをヒントに短編の詩や小説をバラバラに書いていた時、記憶喪失に関するワードが何度も出てきた事がきっかけで、「魂が何度でも転生して巡り会うシャナコの物語群」という構想を思いつき、このTerraシリーズを書く事につながっていきました。

元々の構想はシャドウの孤独な旅路を書いたお話でしたが、お題箱が出したワード的に、シャドウ一人では展開しきれなかったので、途中からナックルズも旅に出る事になりました。

二人っきりの閉じた関係のまま、不思議な世界を広く旅するという構造がお気に入りです。

「森の棺」単体でみるとハッピーエンドですが、「恋人として一度は結ばれたのに、ナックルズの記憶が失われたせいで、“恋人としてのナックルズ”を失いかけた」という経験がシャドウの魂に「ナックルズを喪失した経験・記憶」として強く刻まれます。なので、次の周回では、シャドウの魂が非常に不安定なままナックルズと出会い、暴走状態になっていきます。