「とある日曜日」

日曜日。シャドウは昨日掃除済みの綺麗な部屋を早朝からもう一度掃除し直した。

急いで買い物に行き、ありったけの食料を買い込む。帰宅して、何品かのおかずと焼き菓子を作り、もう一度部屋を軽く掃除して、ソファに座りそわそわと待つ。

玄関のベルが鳴り、ナックルズがやってきた。

大喜びで出迎え、紅茶と焼き菓子でもてなす。ナックルズ、ニコニコしながら焼き菓子を食べる。

シャドウ、うっとり。

「これ、お前が焼いたのか?美味いな」

「おかわりが欲しければ言ってくれ」

ブランケットを差し出し、ナックルズの腰にかける。

控えめな香りのアロマを焚き、落ち着き過ぎずうるさ過ぎないお洒落なBGMを流す。

そっと隣りに座り、もう一度うっとりする。

「君の手に触れてもいいか」

ナックルズはすぐに右手を差し出す。

シャドウは受け取り、頬ずりして、匂いを嗅ぎ、顔を手の甲に押し付けて、幸福を噛み締める。

(このまま溶けてしまいそうだ)

シャドウはそのまま動かなくなってしまった。

ナックルズはぼんやりとして、しばらく部屋を眺めていた。

「腹減ったな」

シャドウが秒で起き上がる。

「パエリア、グラタン、ミートパイ、あるいはアクアパッツァの下準備があるが、どうだろうか」

「なんでもありすぎだろ。グラタンが食べてぇな」

「すぐに取りかかろう」

シャドウは事前に作り置きしていたおかずをワンプレートにしてナックルズをもてなしながら、グラタンを焼き、紅茶のおかわりと共にナックルズへ出した。

「店のグラタンより美味いな!」

ニコニコしながらグラタンを食べるナックルズ。

グラタンの上のチーズよりもトロトロに溶けた顔でナックルズを見守るシャドウ。

「お前は食わないのか?」

「君の笑顔で胸がいっぱいだ」

「胸がいっぱいでも、腹は膨れねぇだろ。半分こしようぜ」

ナックルズがグラタン皿を差し出して、一口分すくい、シャドウの口に入れた。

シャドウは後ろにのけぞり、丸まってコロコロと転がり、壁にぶつかり、そのまま動かなくなった。

「ど、どうした」

「なんと⋯⋯甘美な⋯⋯⋯」

「お前の作ったグラタンだぞ」

ナックルズのスプーンで、ナックルズに食べさせてもらったグラタンを口にして、シャドウは甘さに痺れて動けなくなってしまった。

ナックルズはテーブルの上のご馳走を食べ終わると、伸びをして、床の上に横になった。

シャドウが秒で起き上がり、クッションとブランケットでナックルズの寝心地を整えようとする。

「なんだか本格的に眠くなっちまった。少しだけベッドを借りていいか?」

シャドウが飛び上がってベッドにエスコートする。

ナックルズはベッドに沈み込み、布団を被ったが、すぐ横でギョロ目で凝視するシャドウの視線と鼻息が気になって眠れない。

「フン、フン、フンス、フン」

「⋯⋯一緒に寝るか?」

「フガッ!」

獣のようなうなり声と共にシャドウが布団に飛び込んで来た。

「フゴッ、フゴッ」

「落ち着けって⋯⋯じゃあ、おやすみ」

「ンゴゴッ」

ナックルズはすぐに眠りについた。

シャドウは丸まってナックルズにくっついたまま、ずっとナックルズのお腹の匂いを嗅いでいた。

夕方になってナックルズは用事を思い出して、すぐに帰ろうとしたが、シャドウは動けなかった。

「フゴッ、フゴッ⋯⋯」

シャドウは布団の中でナックルズの匂いに包まれ、その甘さで完全に痺れてしまっていた。

(眠いのかもな。俺のために色々準備してくれてたみたいだしな)

「今日はありがとな。また遊ぼうぜ」

ナックルズはシャドウの背中を軽く撫でると、そのまま帰っていった。

ベッドにはナックルズの残した温もりと匂い、背中にはナックルズが触れた感触がかすかに残っている。

シャドウは全身を震わせ、ベッドにはりついて潜り込んだまま、うっとりとしながらトロトロと溶けて夢の中に落ちていった。