ジークの災難

天気のいいある日。

ジークがエンジェルアイランドにナックルズに会いにやって来た。

しかし、祭壇に立つナックルズの隣りにソニックがいる事に気付き、反転して逃亡していった。

ナックルズが気付いて、首をかしげる。

「ジークのやつ、なんで逃げやがったんだ?」

ソニックは遠い目をしてため息をついた。

(俺のせいだよな。流石に、がっつき過ぎたかな)

ソニックには自覚があった。

数日前、ジークが自分のマンションの部屋まで押しかけて来た時。

無防備に自分を頼って甘えてくるジークを前にして、我慢ができず、ついキスをしてしまったせいで、ジークに警戒されてしまったのだった。

隣りで不思議そうにしているナックルズを見る。

(お前らは、無事結ばれたんだからな。じゃあ、次は⋯⋯)

ソニックは、なんだか、ふつふつとやる気がわいてきた。

(逃がさないぜ、ジーク。次は、“俺たちの番”って事で!)

ナックルズに軽く挨拶してその場を去り、ジークを追いかけると、ジークの逃亡した先には、ナックルズに会いに来たシャドウが立っていた。

ジークがソニックの方を振り返り、慌てた表情でシャドウの背中に隠れた。

ソニックはイラッとしてジークをにらみつけた。

(俺から逃げようとするのは仕方ないぜ。でもよりによって、シャドウを頼るのかよ!)

シャドウはちらりと背中のジークを見やり、それから正面で機嫌が悪そうに立ち止まるソニックを見て、思案した。

(ジークが僕の後ろに隠れ、ソニックがイラついている。どうせソニックが何かやらたしたんだろう。ナックルズにとってジークは必要な存在。ここは、つまり⋯⋯)

「帰れ、ソニック。消し炭になりたくなければな」

ドヤ顔でシャドウがジークを庇い、ソニックの前に立ちはだかった。

ソニックは苛立ちを隠しもせずに大声を出した。

「話をややこしくしようとするな!追いかけっこになった理由くらい聞けよ!」

シャドウは苛立つソニックを鼻で笑い、わざとらしくジークを腕で後ろに追いやった。

「隠れてろ、ジーク。ソニック、どうせ君が何かやらかしたんだろう」

「逆だっての!何もしなかったんだよ、先っちょ詐欺のお前と違ってな!」

ソニックは思わずシャドウを怒鳴りつけた。

事実、あの時ソニックは、ジークが簡単に自分の貞操を投げ出そうとするのを目の当たりにして、逆に事の続きをあきらめ、キスだけで済ませていた。

シャドウの背後で不安そうにしていたジークが、ハッとした表情になり、シャドウを背中からにらみつけた。

“先っちょ詐欺”。

シャドウが正当な方法で契りを結ばず、ナックルズの貞操をなし崩しに奪ってしまった事を思い出したらしい。

「⋯⋯⋯どっちも許さない」

ジークは低い声でそう言うと、さらに走って逃亡を図った。

シャドウはジークに構わず、ソニックをにらみつけて反論した。

「先っちょ詐欺とはなんだ。僕は先っちょだけではつい我慢出来なくなっただけで、意図的に騙そうとしたわけじゃない」

ソニックは子供じみた言い訳を垂れ流すシャドウをわざと突き飛ばし、ジークを追いかけた。

「待て、ジーク!」

シャドウはすぐに振り向き、ソニックに並走しながら言った。

「待てソニック。つまり君もジークに先っちょ詐欺をやろうとしてるんだな?友人想いのナックルズのためにも絶対に阻止してやる。ジーク、こっちへ来い!僕が保護してやる」

「どういう理屈だよ!お前と一緒にするな!待てジーク!意地でも捕まえてやるからな!」

ソニックは言い返しながら、むきになってジークを追いかけた。


必死に走って逃げるジーク。

しかしそもそもジークはフィジカルは強くない。俊足でもない。

振り向くとソニックとシャドウが真剣な表情で迫ってくる。

「ひっ!」

慌てて胸のプリズムに手を当てて、テレポートで逃げようとした。

しかしシャドウのカオスコントロールで動きを封じられ、シャドウに捕まってしまう。

「は⋯⋯離せ!」

ジークがシャドウの腕の中でもがく。

「ソニックから逃げたいんだろう。僕に従え」

シャドウは事もなげにジークの首に腕を回し、両腕を後ろ手に掴んで確保する。ジークは完全に動きを封じられ、苦しそうにうめいた。

「やめろシャドウ、ジークを離せ。嫌がってるだろ!」

ソニックが怒り顔でシャドウに迫った。しかし、シャドウに拘束されたまま、ジークが必死にソニックをにらみつけて返す。

「お前も俺に近付くな」

「なんでだよ!俺はお前を傷付けたくなかったから手を出さなかったのに!」 

ソニックが驚いて叫んだ。ジークが両目を向いて叫び返す。

「鼻と頬と目元に卑猥な口づけをしただろうが!」

シャドウは半笑いで楽しそうに迎合した。

「なるほど、とんだ変態だな。制裁が必要だ」

「先っちょ詐欺野郎は黙ってろ!」

ソニックが大激怒して突っ込む。

シャドウは鼻で笑って相手にせず、そのままカオスコントロールでジークごと消えてしまった。

「こらぁ!ジークを返せーっ!」

ソニックの絶叫がその場にむなしく響く。

ジークはシャドウに連れ去られながら、怒りで叫ぶソニックをイライラしながら黙ってにらみつけていた。

(何が返せだ。俺は身体が欲しいならくれてやると言ったのに、お前は受け取らなかっただろ)


ソニックは考えた。

シャドウはジークをどうするつもりなのか。

ジークから自分を遠ざけようとしている。

でもシャドウは特別ジークと親しいわけでも、ジークに好意を抱いているわけでもない。

しかし、嫌っている風もない。

つまり、恐らく⋯⋯嫌がらせ。

(多分シャドウは俺に嫌がらせがしたいだけで、ジークに意地悪したいわけじゃない。だったら、俺が追うのをやめれば、ジークの身の安全は保たれるはず⋯⋯)

ソニックは諦めかけた。しかし、すぐに考え直した。

「いや駄目だ。シャドウはやるからにはとことんやる性格だ。ジークもナックルズと同じくらい石頭だしな。ジークが強く抵抗した場合、シャドウは容赦なくジークに危害を加えるかもしれない。ジークが嫌がろうがなんだろうが、ジークの身の安全を確認してやるのが先だ」

ソニックは情報端末を取り出し、ある人物に連絡を取った。

一方その頃。

シャドウは、レンタルした小さな個室にジークを監禁していた。

「な⋯⋯なんだここは。くそ、俺をどうする気だ」

ジークが力なくうめく。

ジークを後ろ手に縛り、部屋の奥側にあるベッドに転がしたシャドウは、ジークを見下ろしながら思案顔をしていた。

(そもそも、この男はクアンタの創世のために必要な人材。ナックルズは、クアンタの未来や、この男の身の安全をいつも心配している。心優しいナックルズのためにも、ここできっちり僕が管理するべきだ)

まずシャドウは、クアンタの創世計画の進捗についてジークを尋問した。

ジークは警戒しながらも正直に答えた。

次に暁の船団内でのジークの立場や状況の変化について尋問した。

しかし、ジークは答えない。

「組織外のお前には関係ない事だ」

完全に警戒している。

「僕が創世を手伝った事を忘れたか」

シャドウは冷たい声で言い、ジークの首を軽く締めた。

「ウッ⋯⋯」

ジークは身をよじって抵抗したが、後ろ手に縛られているせいで胸のプリズムに手が届かず、魔法が使えない。

「吐け」

「ん⋯⋯うう⋯⋯」

ジークは観念して自白した。

相変わらず新創世派と女神復古派の間で板挟みになり、精神的に消耗しており、鞭打ちによる禊も継続中らしい。

シャドウはため息をついた。

(やっぱりこいつは誰かが適切に管理してやらないと、どこまでも自分を消耗し続けるんじゃないか)

「次にソニックの事だ。改めて、ソニックに何をされた?卑猥な事をされたなどと言っていたな」

「なっ⋯⋯⋯」

諦めた顔で横になっていたジークは、とっさに頬を真っ赤に染め上げた。

「お、お前には関係ないだろう⋯⋯!」

「お前の方から僕を頼って来たんだ。ソニックに何をされた?無理やり犯されたのか」

「ち、ちが⋯⋯お前には関係ない!」

「吐け」

「あぐっ!」

首をつかまれながら、みぞおちを軽く突かれる。

「く、口づけを⋯⋯されただけだ」

「どこにだ?」

「う⋯⋯」

シャドウが黙って手に力を込める。

「は、鼻と、頬と⋯⋯目元」

「どこでやられた?」

「ソ、ソニックの⋯⋯家」

「家に無理やり連れ込まれたのか」

「⋯⋯⋯」

ジークは真っ赤な顔のまま押し黙った。

自分からソニックの家に押しかけて、自分からベッドに潜り込んで、ソニックに迫られてしまった。間抜け過ぎて言語化したくない。

シャドウは沈黙を肯定だと解釈し、腕の力を緩めた。

「家に連れ込まれてキスまでされて⋯⋯そこでようやく抵抗したのか?よく無事だったな」

「⋯⋯⋯⋯」

「ソニックは随分お前に執着しているようだ。しばらくお前はソニックに近付けさせない。やつはさっき本気の目をしていた。隙あらばお前の貞操を奪う気でいるに違いない⋯⋯」

「ソニックは俺の身体なんて欲しがらない!」

ジークは思わず叫んだ。

シャドウが尋ねる。

「何故だ?部屋に連れ込まれて、キスまでされたんだろう」

「身体が欲しいならくれてやると言ったら、拒まれた」

「⋯⋯⋯⋯」

シャドウは面食らって黙り込んだ。しばらく置いて、眉をしかめて尋ねる。

「ソニックにキスをされたのが嫌だったんだと思ったが⋯⋯違うのか?」

「⋯⋯突然過ぎて拒めなかった」

「キスを拒めなかったから、流れでそのまま身体を差し出そうとしたのか」

「⋯⋯⋯」

シャドウは呆れた顔で言った。

「お前はキスを3回されただけで、身体を無償で差し出すのか?⋯⋯仮に僕がここで3回お前にキスをすれば、お前は僕に身体を差し出すのか」

ジークの方がいっそう赤みを増す。

「な⋯⋯そ、そんなわけあるか!お前はナックルズの番だろうが!不埒な発想をやめろ!」

シャドウはじっとジークを観察していたが、薄く笑うと、身を乗り出して言った。

「ここには僕とお前の二人しかいない。要するに、お前さえ黙っていれば、僕とお前がここで何をしようが、何も問題はないわけだ」

シャドウはジークに馬乗りになり、顔をつかみ、薄く笑ったまま口を近付けた。

「あっ⋯⋯あ⋯⋯」

ジークが青くなって震え出す。

「や⋯⋯やだ⋯⋯やめろ⋯⋯」

ジークが身をよじって暴れようとする。

シャドウは腰を落として腕に力を込める。ジークは全く逃げられなかった。

「や、やだ、やめろ⋯⋯いやだ!」

「3回キスをすれば、気持ちが変わるんだろう」

「ちがう!いやだ!やだ⋯⋯ソニック!」

「ソニックはここには来ない」

「やだ!ソニック⋯⋯ソニック⋯⋯!」

ジークは泣きながらソニックの名を叫び続けた。

シャドウはジークを押さえつけたまましばらくジークの様子を観察していたが、少し経って、ようやく腕の力を緩めて言った。

「⋯⋯つまり、お前は誰にでも身体を差し出したいわけではなく、キスだって、少なくとも僕とするのは嫌だという事だな」

「⋯⋯⋯え⋯⋯⋯⋯あ⋯⋯⋯」

ジークが泣き止んでシャドウを見る。

それから、再び頬を真っ赤にして言った。

「あ⋯⋯た、試しやがったな、この野郎⋯⋯!」

「ソニックはここには来ないというのは本当だ。ソニックに優しく助け起こしてもらいたかったんだろうが、残念だったな」

シャドウが笑う。ジークは真っ赤な顔のままシャドウをにらみつけた。

「ジーク。お前はソニックと結ばれたいのか」

「⋯⋯⋯」

「キスしてやろうか」

「お、俺に選ぶ資格なんぞない!」

シャドウが再び顔を近付けようとするのを見て、ジークは吐き捨てるように言った。

「俺には神託の魔術師として、暁の船団の師団長として、クアンタの創世を実現させる急務がある⋯⋯ソニックの事などで、どうこうしている余裕はない」

「余裕があれば違うという事か。創世が完全に実現すれば、その時お前はソニックに身体を差し出すのか?」

「⋯⋯⋯」

ジークはほとほとシャドウの鋭い思考力に嫌気がさした。

苦虫を噛み潰したような顔で黙り込んだが、息を吐いて言った。

「創世が実現さえすれば、俺の身体なんぞどうでもいい。その時は誰が相手でも、欲しけりゃくれてやる」

「半分嘘だな。その時、僕が身体を差し出せと言ったら、お前はまた泣きながらソニックの名を叫ぶんだろう」

「⋯⋯⋯⋯」

ジークは真っ赤な頬をしたまま、涙目でシャドウをにらみつけた。

シャドウは楽しそうに笑って立ち上がった。

「なんにせよ、創世のための激務でお前に負担がかかっているのは事実のようだ。この状況でソニックに精神を乱されるのも好ましくない。しばらくお前はこの部屋で休ませる。明日になればクアンタに帰してやるから、それまでしっかり休んでおけ」

「な⋯⋯何を勝手に⋯⋯!俺はすぐにでも働ける。クアンタに今すぐ帰らせろ!」

ジークが上体を起こして叫んだ。

シャドウは入り口に立って振り向いた。

「3回キスをしてもいいなら、考えてやる」

「うっ⋯⋯ううう⋯⋯⋯」

シャドウは余裕の笑みでジークを見下ろし、僕に任せておけ、とだけいい、部屋の扉を閉めて去っていった。

ジークは後ろ手に縛られた腕をなんとかしようともがいたが、どうにもできず、疲れ果ててベッドに倒れ込んだ。


ソニックは先程情報端末からある人物にメッセージを送ったが、その後しばらく迷った結果、シャドウにもメッセージを送った。

“お前がジークに意地悪してる事、ナックルズに全部バラすぞ”

ソニックは息を吐いて端末をしまった。

シャドウがジークをどこに連れていったのか、ジークに何をしているのかはわからない。

ただ、ソニックの手の届かないところへジークを連れて行った可能性が高い。

(なんか卑怯な手を使っちまってる自覚はあるけど⋯⋯どうせシャドウのやつ、ナックルズに向かっていい顔がしたいだけのような気がするんだよな)

くるりと向きを変えて歩き出そうとして、背後に突然現れたシャドウとぶつかった。

「うわぁぁ?!」

「ぐっ⋯⋯急に進行方向を変えるな」

「急に背後を取るのをまずやめろ!」

シャドウが構わず続ける。

「ナックルズをだしに使うとは卑怯な。そもそも君がジークを惑わせるのが悪いのであって、この事でナックルズの心までも煩わせるというのは⋯⋯」

「惑わせて何が悪いんだ。その後には必ず俺がジークに幸せをもたらせてやる。お前がナックルズにやったようにな」

「確かに、そういう幸せもあるだろう。だが、それをやるべきは今じゃない」

「なんだと?!」

「ジークは衰弱している。君に扱える状態じゃない」

「だったら、お前一人で扱える状態でもないだろ!ジークはどこにいる」

「君に会わせていい状態ではない」

「シャドウ!」


その時、ソニックの情報端末にメッセージが入った。ソニックが端末をみて、ニヤリと笑う。

「悪いな、シャドウ。キュイに相談して、ジークの居場所を推理してもらった。エージェントがよく使うレンタルスペースで監禁されて衰弱している深紅のハリネズミを発見したそうだ」

「しまった。キュイを使うとは⋯⋯卑怯だぞ、ソニック」

「誘拐犯のいう事か!とにかく、ジークはこっちで保護させてもらうからな」

ところ変わって、レンタルスペースに突入したキュイ。

エージェントの権限を使ってシャドウ名義の個室に侵入し、後ろ手に縛られ、ぐったりしている深紅のハリネズミを発見した。

すぐにソニックに連絡を取り、ジークに話しかけようとすると、ジークが警戒した目で壁ににじりよった。

「誰だお前は。シャドウの仲間か」

「俺の名はキュイ。そうだな⋯⋯シャドウの仲間でもあるし、ソニックの仲間でもある。今はソニックに頼まれて、ジークという男の救出に来た。君がジークか。希望するならこのまま救出作戦を実行するが、構わないかな」

キュイは状況がよくわからないので、念のためジークに許可を取ろうとした。

ジークはキュイの目を見て、嘘をついてはいないと判断したが、少し考え、答えた。

「⋯⋯シャドウの許可なくここを出るわけにはいかない。ここでシャドウに逆らっても、後で激しく揉めるに決まっている」

「⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯」

お互い沈黙する。

キュイは困った。

ソニックに頼まれて来てみただけで、キュイからは救出を強制しづらい。

しかし、後ろ手に縛られ衰弱しているジークを放置するのもキュイの倫理意識に抵触する。

「シャドウは理由なく理不尽な事をする男ではない。どうして君はシャドウに監禁されているんだ」

キュイは原因を探ってみる事にした。

ジークが暗い顔で答えた。

「⋯⋯俺がシャドウに逆らったからだ」

「何に対して、どう逆らったんだ」

「⋯⋯⋯⋯」

ジークは返答に困った。

ソニックの家に押しかけて、ベッドに潜り込んだらキスされて、そのせいでソニックから逃げようとしたら追いかけられ、シャドウの後ろに隠れたら揉めに揉めて何故か監禁され、尋問され、明日まで帰さないと言われた。

そんな状況を今出会ったばかりの、ソニックとシャドウ共通の友人らしいこの男に説明しろというのか。

「お⋯⋯俺がソニックと色々あって、揉めていたせいで、シャドウを巻き込み⋯⋯結果、シャドウを怒らせてしまった。明日になれば解放される約束だ。このくらいの拘束は、問題ない」

「ソニックからは、君とシャドウが揉めた結果、君がシャドウに攫われたと聞いていたんだがな。君は元々ソニックと揉めていたのか」

「⋯⋯⋯⋯」

ジークは脱力して突っ伏した。

(ソニックめ。自分の都合のいいように適当に脚色してこの男に伝えやがったな、あの軽薄野郎)


キュイは続けた。

「君はここに留まる事を希望しているようだが、ソニックに保護される事は望んでいないという事か」

ジークは壁によって警戒したまま言った。

「ソ⋯⋯ソニックの野郎に捕まった場合は、今よりもさらに状況が悪化するに決まってる。やつはきっと、俺に向かって⋯⋯⋯」

「ソニックは君の事を本気で心配しているはずだ。君はソニックとどんな内容で揉めたんだ?」

「⋯⋯⋯⋯⋯」

ジークが弱り果てた顔になった。

「他言はしない」

「し、信用できるか!」

「ここに長く留まれば、俺がシャドウに見つかる危険性も増す。それでも、君が救出を望まないなら、俺はここに留まって対話と説得を続けるしかない」

「⋯⋯⋯⋯」

ジークは意図を理解した。

(この男はこの場に留まる危険を理解した上で、最良の方法を模索しようとしている。長くこいつをこの場に引き留めるのは、こいつの覚悟に対して不誠実だ)

ジークは意を決して、早口で言った。

「ソニックの家に押しかけてソニックのベッドに潜り込んだら、3回口づけされて関係を迫られた。ナックルズに会いに行ったらソニックの野郎がいたから逃げたら追いかけられて、気付いたらシャドウに捕まって尋問されて今に至る、それだけだ」

キュイの表情が一気にフニャフニャになったのが見えた。

ジークは一切の感情を遮断する事にした。

「何か、他に⋯⋯⋯」

「それだけだ!くだらん痴情のもつれから始まったただの意地の張り合いと喧嘩の延長だ!わかったらとっとと帰れ!」

ジークが真っ赤になって叫んだ。

「帰らせるわけにはいかないな。キュイ、悪いが君もしばらくここで大人しくしててもらおう」

入り口が閉まる音と共に、シャドウが背後に現れた。

キュイが表情を変えずにシャドウに言った。

「君らしくもないな、シャドウ。まずは冷静に⋯⋯」

「キュイ、君の方こそ迂闊だったな。ソニックが反省してしおらしくなるまで、しばらく二人でゆっくりしててくれ。まぁ、明日には解決するはずだ」

シャドウはキュイの持っている情報端末を取り上げると、二人分のコーヒーをテーブルに置いた。

「キュイ、ジークの拘束はほどかないでくれ。そいつは異世界の魔術師だ。胸に手を置くことで危険な魔法を発生させる。君も一撃で焼き殺されるぞ」

シャドウは笑顔でそう言って、カオスコントロールでその場を去った。


ジークはしばらく、シャドウの去った時空の歪みの跡を眺めていた。

そして、音を立てずに静かにため息を吐いた。

(俺が魔術師だとバラされた。目の前のキュイという男は恐らく熟練の諜報員。俺がどれだけ敵意などないと言い張ったところで、初対面の俺の言い分なんぞまともに取り合うわけがない。もはやこいつを味方に引き込むのは不可能だ)

ジークは、せめてキュイが警戒して自分に危害を加えたり、とどめをさしたりしない事を願うしかなかった。

キュイは肩をすくめてふっとため息をつくと、ジークの方に向き直り、素早くジークの拘束を解いた。

「なっ⋯⋯⋯?!」

ジークは驚いて後ずさった。

そのままキュイから距離を取り、油断なく構えながら言った。

「シャドウの言った事は本当だ。何故迂闊に俺の拘束を解いた?俺は両手の自由さえあれば、いつでもお前を暁光で焼き殺せるんだぞ」

「両手が縛られていては、コーヒーが飲めないだろう。二人でゆっくりしててくれというのがシャドウの命令だ」

事もなげにそう言い放つと、キュイは片方のコーヒーをジークに渡し、自分のコーヒーをゆっくりと口に含んだ。

ジークはキュイの顔をまじまじと見た後、困った顔で考え込んだ。

(この男は、俺が両腕の自由さえあればテレポートの魔法でここから逃亡できる事を知らない。だが⋯⋯俺が逃亡すれば、俺を信頼して拘束を解いたこの男は、戻ってきたシャドウの前で恥をかく事になる)

ジークは自分が傷付くのは別に構わなかったが、自分に対して義理を見せた人間に恥をかかせる事は耐えられないので、逃亡は諦めた。

ジークはベッドの端にちょこんと座り込み、疲れた顔でちびちびと苦いコーヒーを飲んだ。

ジークの様子を見て、キュイが笑って言った。

「なんだか、これなら俺はいつでも逃げられるぞ、といった顔をしているな。逃亡に役立つ魔法でも持っているのか」

「そ、そもそも俺には逃げる必要なんぞない。ここにいれば、ソニックの野郎には会わずに済むんだからな」

ジークは図星をつかれて慌てて弁明した。

キュイが思わず返す。

「ソニックから熱烈なアプローチをかけられるのが、シャドウに監禁されるよりも怖いという事か」

ジークはコーヒーを派手に吹いてむせた。

「もう一度言っておくが、ソニックは君の事を本気で心配しているんだと思うぞ」

「だ、黙れ。シャドウもソニックも本気でぶつかっているのは知っている。お、俺なんぞの立場をかけて本気でぶつかろうというのが、そもそもあいつら、そろってイカれてやがるんだ」


とある崖の上。シャドウとソニックは“本気で”ぶつかっていた。

「ジークを返せ!」

「今やつを君に会わせる必要はない!」

本気で殴り合いのぶつかりあい。

互いに高速で身体を回転させ、衝突するたびに閃光と火花が散る。

「俺はジークを傷付けようってんじゃない!」

「ジークは迷惑がってるんだ!はっきり君を拒絶している!」

「それはお前の一方的な言い分だろ!ジークと直接話をさせろ!」

「当分の間ジークの生活は僕が管理する!君は引っ込んでろ!」

「なにが管理だよ、この誘拐犯!ジークをこっちへ渡せ!」

「君の方こそ不埒な変態だ!ジークはこっちで適切に管理する!」

延々と怒鳴り合いながら衝突を繰り返す。

しばらくやり合ったところで、お互いに力をためて、もう一度全力で正面からぶつかろうとしたところで、真横からの強い衝撃を受けて二人とも同時に吹っ飛んだ。

「ぐわっ?!」

「うぐっ⋯⋯!」

崖の上から一気に落下し、二人ともすんでのところで岩壁にへばりついた。

「な、なんだぁ⋯⋯?!」

「こ、この気配は⋯⋯」

「よう、タクシー代わりだ。乗ってけよ」

声のした方向に二人同時に向くと、赤いハリモグラが岩壁に張り付いて、こちらをジトリとにらみつけていた。

二人を吹っ飛ばした後で滑空し、ここまで追いついてきたらしい。

「ナ⋯⋯ナックルズ!よ、よう、相変わらずのパワフルっぷりだなぁ」

「⋯⋯ナックルズ。お、怒っているのか?⋯⋯僕は、別に⋯⋯ソニックとちょっとした競争をしていただけで⋯⋯⋯」

「大人しく乗るか、はたき落とされるか、好きな方を選べ。話はその後だぜ」

ナックルズが低い声でにべもなく選択を迫る。

二人は背中に冷たい汗をかきながら言った。

「の、乗る。乗るけど、はたき落とされたら話もクソもないんじゃ⋯⋯」

「ナックルズ、怒っているならすまない⋯⋯でもその、僕は⋯⋯そもそも君のために⋯⋯」

ナックルズは二人を背に乗せて崖を登りきると、仁王立ちで二人に向かって言った。

「テイルスが島まで相談に来たんだよ。ソニックが呼んでも来ない、位置情報から割り出して迎えに来たら、ここでシャドウと喧嘩しててとりつくしまもないってな」

「ああ⋯⋯テイルス、来てたのかよ⋯⋯⋯」

ソニックがガックリ肩を落とす。

「で⋯⋯お前ら、なんで喧嘩してたんだ」

「あー⋯⋯その、別にたいした理由は⋯⋯」

「ナックルズ。どうか心配しないでくれ、僕たちは決して君の手を煩わせたくなくて、それで⋯⋯」

ナックルズが鬼のような顔で言った。

「はっきり言わなきゃわかんねぇか?テイルスが録音したお前らの怒鳴り声をここで再生してやろうか?街まで響く大音量でな」

ソニックが青い顔でやめてくれ、と叫んでナックルズにすがりついた。

シャドウは言葉を失い、絶望の表情で膝から崩れ落ちた。

自分の感情で一方的にジークを手に入れようとするソニック。

自分の論理で一方的にジークを管理しようとするシャドウ。

ナックルズから見れば、どっちも殴って止めるべき対象に他ならなかった。


ジークはキュイをちらりと見た。

「キュイとか言ったな。お前はシャドウやソニックとの付き合いは長いのか」

「それなりにな」

ジークはキュイのこれまでの落ち着いた立ち振る舞いを見て、なんとなく話を聞いてみたくなった。

「お前から見て、ソニックというのは⋯⋯その⋯⋯どんなやつなんだ」

そわそわ目線を泳がせながら、照れ臭そうにしているジークを見て、キュイはコーヒーを飲みながら遠い目になった。

(やっぱりまた恋愛相談か)

適当にかわそうかとも思ったが、ソニックに言い寄られ、なぜかシャドウに監禁され、衰弱し、居心地が悪そうにしながらも逃げずにいるジークを見て、さすがに雑にあしらうのは気が引けた。

「誰からも愛されるお人好しの人気者。大抵の人間は、彼から口説かれたとなると、有頂天で周囲に自慢するか、夢中で彼の言いなりになるか⋯⋯あるいは、とても身分違いで気持ちを受け取れないと、恥じらって逃亡するか」

キュイが答えた。ジークが難しい顔になる。

「やつは、つまり⋯⋯その、誰とでもつながる、遊び人という事か」

キュイはほんの少しジークの揺れる心をつついたつもりだったが、想定以上に揺さぶってしまったと感じて、内心ヒヤリとした。

(別にからかいたいわけでも邪魔をしたいわけでもない。俺の主観による解像度の低いソニック評をこれ以上勝手に語るのは気が引ける。さて、どう切り抜けようか)

少し思案して、キュイは答えた。

「ソニックは仲間のためなら平気で命をかけて戦うような熱い男だ。だが彼の恋愛観については、俺の関知するところではないな。直接ぶつかってみて、君が自分で判断するべきだろう」

「⋯⋯ぶつかってみないとわからない、か。確かにソニックが、自分でそう言っていたな」

ジークが膝を抱えて丸くなり、小さな声で言った。

「疲れているなら、少し横になっていたらどうだ。案外明日を待たずに、ソニックがこの部屋まで迎えに来てくれるかもしれないがな」

「⋯⋯ソニックがもし来るなら、寝てなんていられないが、そうする⋯⋯」

ジークは疲れ果てた顔でつぶやき、ノロノロとベッドに横たわって、気絶するように眠りに落ちた。

キュイは布団をかけてやろうとすると、ジークのか細い声が聞こえてきた。

「⋯⋯ックルズ⋯⋯」

「うん?」

「⋯⋯ナックルズに、会いたい⋯⋯⋯」

キュイは動きを止めて渋面になった。

(ソニックに口説かれ、シャドウに監禁され、ナックルズに会いたがるのか⋯⋯一体、どういう立場の男なんだ)


やがて、レンタルスペースのドアが開いた。

椅子に腰掛けていたキュイが顔を上げると、ドアの向こうから、赤いハリモグラが両目をギョロつかせながらのしのしと入ってきた。

「⋯⋯ナックルズ。まさか、君が来るとは」

「キュイか。シャドウとソニックから話を聞いた。ジークを迎えに来たぜ」

ナックルズは疲れた顔で眠りこけているベッドの上のジークを見た。

キュイは椅子から立ち上がってナックルズを見た。

「ジークは、君に会いたがっていたようだ」

「ふん。テレポートで逃げ出しゃいいのに、シャドウに言われるがまま律儀に部屋にこもってんのか」

ナックルズは布団をめくってジークを眺めた。拘束は解かれているので、何故ジークが監禁されたまま部屋に留まっているのかよくわからなかった。

「起きろ、ジーク。帰るぞ」

「ナックルズ⋯⋯」

「おう」

「ナックルズは⋯⋯俺が守る⋯⋯」

「寝ぼけやがって。しょうがねぇな」

ナックルズは目を閉じたまま寝言をつぶやくジークをヒョイと抱えて、部屋の外へ出た。

キュイも後へ続いて部屋から出ると、通路にしょげ返ったシャドウとソニックが並んで立っていた。

ソニックはナックルズの腕の中でぐったりして動かないジークを見ると、慌てて一歩前に出た。

「ナックルズ、ジークはどうしたんだ。怪我でもしてるのか?」

「問題ねぇよ。寝てるだけだろ」

なんでもない顔でジークを見下ろすナックルズの後ろから、キュイが顔を出し、それとなくソニックを牽制する。

「心配するのはいいが、あまり前のめりになり過ぎない事だ。自分がどう思うかと、相手にどう思われるかは別の話だからな」

ソニックが不満げに口を尖らせた。

「なんだよ、キュイ。ジークから何か聞いたのか?」

「まぁ、色々とな。邪魔するつもりはないが、うまくやりたいなら、俺の忠告も無駄にはならないはずだ」

ソニックは肩をすくめて言った。

「ご親切にどうも、キュイ。今日はナックルズに任せて大人しく帰るぜ。当然、うまくやるつもりだからな」

シャドウはしょんぼりとして通路の端に佇んでいる。

ナックルズがシャドウの方を振り返って言った。

「帰るぞ」

シャドウは飛び上がって駆け寄り、ナックルズに触れる。

ソニックとキュイをその場に置いて、ナックルズ、シャドウ、ジークは、カオスコントロールでエンジェルアイランドへ戻った。


「ううん⋯⋯⋯」

ジークは寝返りをうった。

身体が重い。疲れが取れていない。

(ああ⋯⋯拠点の見回りをしないといけないんだっけか⋯⋯)

クアンタでの自分の仕事を思い出し、だるそうに身体をひねって、横を向いた。

ドム、と、やけに弾力のある赤くて温かい何かにぶつかった。

「んむぅ⋯⋯」

赤い何かにしがみつく。いい匂いがする。

(拠点の自分の寝室に、何か荷物をおいていたんだっけか)

なんとなく心地よくて、しばらく赤い塊にくっついて頬ずりしていた。

(身体が重いが、ダラダラしている場合じゃないな)

今度こそ起きようと、赤い塊にしがみつき、顔を上げる。

「おう、起きたかよ」

赤い塊と目が合う。

ナックルズだった。

「⋯⋯⋯⋯」

思考を停止させ、ナックルズの胸にしがみついたままぼんやりナックルズをみつめていた。そして、

「う、うわぁぁぁ?!」

ようやく事態に気付き、慌てて後ずさりながらはね起きた。

「み、見回り、拠点を⋯⋯あ、ここは⋯⋯?」

「ここはエンジェルアイランドにある、俺が使ってる小屋だ。シャドウがお前を狭い部屋に閉じ込めてたから、俺が引っ張り出してここまで運んできたんだよ」

ジークは慌てて周囲を見渡した。

それから、ようやく自分の置かれている状況を思い出し、怯えた顔で周囲の気配を探った。

「シャドウは自分の任務に戻ったぜ。引きとめたんだけどな。ソニックも今はいねぇ。まぁ、ゆっくり休んでいけよ」

ジークは身体から力が抜けるのを感じた。

それから、疲れていたのでナックルズに促されるまま、大人しくベッドに倒れ込み、身体を小さく丸めた。ナックルズが背中を撫でてくる。

気持ちよくなって、もう一度弾力のある赤い塊に顔を押し付け、頬ずりをした。

「⋯⋯⋯⋯」

思考を停止してぼんやりしていたが、少し経って、自分がどこで何をしているのか、ようやく理解と理性が追いついて来た。

「ちちち、ちがっ⋯⋯⋯!すまん、俺はとんでもない無礼を⋯⋯!」

ジークは慌ててベッドから逃げ出そうとして起き上がったが、ナックルズの身体に足が引っかかり、もんどりうって床に転がり落ちた。

「んぎっ!んぐぅ⋯⋯!」

「何が無礼だよ、危ねえな」

ナックルズは呆れて抱え起こした。

「あ、さ、触るな、お前はシャドウの番なんだから⋯⋯⋯」

ジークは必死で逃げ出そうとした。

ナックルズはシャドウの正当な番。そのナックルズの使う小屋やらベッドやらでジークが寝るのは、ジークからすれば不貞に当たる。ただの知人ならいざ知らず、ナックルズを欲してシャドウと決闘をし、敗者となった自分は絶対にこの場に留まるべきではないと思ったのだった。

「まだ夜だぜ。今日はゆっくり休んで、クアンタには明日になったら帰ればいいだろ」

ナックルズはそういうと、片手でヒョイとジークを引っ張り上げ、再びベッドの中にジークを押し込んだ。

「わ⋯⋯⋯ひ⋯⋯⋯」

「もっと奥まで詰めろよ」

ナックルズがジークの身体を奥側に押し込め、自分ごと布団で包み込んだ。

「ナ、ナックルズ。シャドウは⋯⋯⋯」

「シャドウはいないって。会いたいのか?」

「⋯⋯⋯⋯」

ジークは身じろいで奥側に逃げた。ナックルズが詰めて寄ってきたので、さらに逃げ場がなくなった。

「シャドウに、怒られる⋯⋯⋯」

ジークがナックルズの胸に潰されながらつぶやいた。

「怒らねぇって。あいつもああみえて、お前の事を心配してんだよ。もう寝ようぜ」

「⋯⋯⋯⋯」

疲れ果てていたジークは、考えるのをやめた。

(こいつといると、難しい事が段々どうでもよくなってくる)

目をつむり、そのまま意識を手放した。

ナックルズもあくびをひとつ放って、のんびりと眠りについた。


翌朝、ジークが目覚めると、変わらず弾力のある赤い塊が自分の視界を圧迫していた。

「⋯⋯⋯⋯」

少し迷ったが、考えても無駄だと思い、そっと顔を近付け、その塊に向かって頬ずりをした。

すると、後頭部をワシワシと撫でられる。

「いっ!」

てっきりナックルズはまだ寝ていると思っていたジークは、慌てて背後に後ずさり、壁に背をぶつけて悶絶した。

「いうう⋯⋯」

「よう、そろそろ起きるか。帰る前に、朝飯を食っていけよ」

ナックルズはそう言って起き上がり、朝食のパンとスープを出した。

朝食を食べ終え、ジークがクアンタへ帰るための転送魔法の準備をしていると、シャドウとソニックがやってきた。

ジークはぎょっとして逃げようとした。

ナックルズが肩をつかんで言った。

「ジーク、大丈夫だって」

シャドウは何も言わずにナックルズの左隣りに立った。

ソニックは何か言いたそうに、そわそわしながらシャドウの右隣りに立った。

「⋯⋯⋯また、来る」

ジークはそれだけ言うと、転送魔法でクアンタへ帰っていった。

シャドウがほっとした顔で空を見上げた。

ソニックは大袈裟にため息をついて、肩をなでおろした。

「よかったな、お前ら」

ナックルズはフンと鼻を鳴らすと、いつも通り、胸をそらしてのしのしと祭壇へ戻っていった。